1:◆hs5MwVGbLE 2016/03/20(日) 02:51:15.56 ID:+JfzCt1K0

5: 2016/03/20(日) 20:29:03.84 ID:+JfzCt1K0
愛する存在との長い別れの期間を設けられた僕にとって、この日々生活している場所はもはや地獄のようだった。

何をやっても力が入らない。集中できない。
気がつけば、ぼーっとしていた。

数ヶ月前の契約者による犯罪を止めることに燃えていた日々が嘘のようだった。
6: 2016/03/20(日) 20:32:18.22 ID:+JfzCt1K0
別れ際は強がって涙も流さず彼女を送り出してやったが、別れたあとに自分が思ってたより数倍も彼女に依存していたことに気がついた。

悪魔の力を得るには彼女に触れることが必要不可欠だったためそれに気がつかなかった。

何度も自頃しようかとも考えたが、そんなことをしてあいつが喜ぶのかどうかを考えるとそれもできなかった。

8: 2016/03/20(日) 20:34:36.43 ID:+JfzCt1K0
彼女の温もりを思い出すとそれがたまらなく恋しくなる。その思いは大きくなると稀に日常生活の発言に影響を与えた。

男「ただいま」

男「ってはぁ…また言っちゃったよ」

男(もうこの部屋には僕以外にはいないんだって!しっかりしろ僕!)

「おかえりなさい」

男「は?」

男(ついに幻聴まで聞こえてきたか?でも声があいつの声じゃなかった…よな…)

男(はは…寂しさのあまりついに誰でもよくなったか?)

あまりにも突然の出来事に色んな思考が僕の中でぐるぐる回ったが、その思考のループも目の前に現れた謎の存在によって途切れた。

幼女天使「おかえりなさい。お兄さん」

男「……」

目の前にいたのは白鳥のような純白の翼に鮮やかな茶髪の低めにくくったツインテール、そしてあいつと対の存在かとも思わせるような白いワンピースを着た小柄な少女だった。

9: 2016/03/20(日) 20:39:09.79 ID:+JfzCt1K0
男「誰だよ、あんた」

幼女天使「ふふっ…思ったより冷静なんですね。お兄さん」

男(こいつ、もしかして僕を知っている?)

男「まるで僕が前にも同じようなことがあったのを知ってるような口ぶりだな」

幼女天使「ええ。まぁ、ここに来たのもそのことが関係していますから」

男「あんたも悪魔の関係者なのか?」

幼女天使「直接的な関係者ではありませんよ。私は天国から来た下級天使ですから。幼女天使とお呼びください」

10: 2016/03/20(日) 20:42:05.92 ID:+JfzCt1K0
男「で、天国から来た天使様がいったい僕に何の用だ?」

男「生憎僕は地獄行きが決定しているらしいんだ。あんたたち天使とは無縁だと思うんだけど」

幼女天使「それは分かってますよ。お兄さんが地獄の後継者争いを勝ち抜いたことももちろん知っています。お兄さんたち人間には見えませんがあなたの手の甲には地獄行きの印が焼き付いています」

幼女天使「その地獄行きが決定している方たちを天国に送るために私たち天使が人間界に降りてきたんですよ」

男「天国に送る?」

幼女天使「そうです」

幼女天使「お兄さん。善行を積みませんか?」

11: 2016/03/20(日) 20:52:06.18 ID:+JfzCt1K0
男「善行を積む?今さらか?」

幼女天使「はい、簡単な話です。後継者争いの中で犯罪に手を染めたことによって地獄行きを決定付けられたあなたたちが善行を積むことによって今度は天国に行けるようにしようというわけです」

幼女天使「それには私たちとの契約が必要でして…」

男「遠慮しとくよ、別に僕は地獄に行ったって構わないし」

幼女天使「いえ、そういうわけにはいきません。お兄さんにはまだ幸せになる権利があります」

幼女天使「よく考えてもみてください。お兄さんは巻き込まれただけなんです。自分たちの全く関係のない後継者争いにその身を投じられ終わった後にお兄さんに残ったのは地獄行きの印だけです」

幼女天使「こんなことがあっていいはずありません」

12: 2016/03/20(日) 20:56:11.02 ID:+JfzCt1K0
男「その巻き込まれた僕がそれでいいって言ってるんだぞ」

幼女天使「では、この契約のメリットをお伝えしましょう」

男「メリット?」

幼女天使「積んだ善行がある一定になると可能な限りですがあなたの願いを一つ叶えてさしあげましょう」

幼女天使「積む善行は些細なことでも構いません。身近な人助けやボランティア、お兄さんの意思で起こした行動ならなんでも良いのです」

幼女天使「一応願いの内容は契約時に聞くこととしますが別に後で変えることも了承しましょう」

13: 2016/03/20(日) 20:57:56.73 ID:+JfzCt1K0
男「結局は自分のために積む善行か。そんなの偽善じゃないか」

幼女天使「『情けは人のためならず』とはこの世界の言葉ですよね」

男「それがどうしたっていうんだ」

幼女天使「偽善も善の一つのあり方なんですよ」

14: 2016/03/20(日) 21:01:22.54 ID:+JfzCt1K0
幼女天使「そもそも他人の行動の善し悪しなんて決めるのは結局周りですからね」

幼女天使「愛した人が自分も愛してくれているのに、それでもそれは周りにはタブー扱いされる愛の形だった…」

幼女天使「なんて話もあるらしいですし。ね?お兄さん?」

男(…どこまで僕のことを知ってるんだ?)

幼女天使「さぁ、契約する気になってくれましたか?」

15: 2016/03/20(日) 21:03:01.65 ID:+JfzCt1K0
男「なら…地獄に行きたい」

幼女天使「え?」

男「それが僕のたった一つの願いだ」

幼女天使「それは…」

男「それができないなら契約は無しだ。今すぐ天国に帰れ」

幼女天使はしばらく考えるそぶりを見せたがやがて妥協したかのように一人で目をつぶり頷くと返答した。

幼女天使「…良いでしょう」

16: 2016/03/20(日) 21:05:52.81 ID:+JfzCt1K0
男「本当なんだろうな」

幼女天使「はい、しかし契約内容には続きがありまして善行の逆、つまり世の中で悪行とされることなどを行うと目標は遠ざかってしまいます」

幼女天使「一応もちろん目標達成後、私たちがいなくなった後でも悪行を働くと地獄行きの印が復活してしまいます。まぁ地獄行きを願うあなたには関係のない話かもしれませんが」

男(つまり今後犯罪はするなってことだな)

男「分かった」

幼女天使「お兄さんの善行が目標に達したとき、地獄への門が開かれるでしょう。手を出してください」

男「天国と地獄って正反対だと思ってたから無理だと思ってたけど、案外頼んでみるもんだな」

幼女天使「私たちからしてみれば近所みたいなものですよ。だからこうして近所が起こした問題を解決しに来てるわけです」

僕が手の甲を突き出すと幼女天使はその手を両手で握り何やら呪文を唱え出すと僕の手が光りだした。

17: 2016/03/20(日) 21:08:07.63 ID:+JfzCt1K0
男「うわ…」

やがて光が収まると幼女天使は笑顔でこう言った。

幼女天使「契約、完了ですね。これからよろしくお願いしますね。お兄さん!」

男「うん…よろしく…」

見た目に反した冷静な口調の幼女天使の最初のイメージとは裏腹にその無邪気な笑顔は、何だかあいつを思い出しそうになってしまうほど、綺麗だった。

男(見た目からして歳もあいつくらいなのかな?)

20: 2016/03/21(月) 00:54:30.89 ID:auvuQdUW0
…………

幼女天使「あの…」

「あっ…幼女天使ちゃん…わざわざ天界から遊びに来てくれたの?」

幼女天使「はい!」

「たはは…ごめんね。今日も女王の仕事が忙しくてさ、ちょっと無理、かも…」

幼女天使「そう…ですか…」

「いや、あんまり休んじゃったら新しい大臣に怒られちゃうしね。ほんとごめん!」

「はぁ〜あ…」

幼女天使「どうしたんですか?」

「いや、また私を女王様にしてくれた人のこと考えてたの」

幼女天使「またですか?もうその人の話は耳にタコができるほど聞きましたが…」

「うん。でもね、すごく会いたいの…大好きだったから…」

幼女天使「あなたはその人のことばっかりですね…私が来てもその人のことばっかり」

「幼女天使ちゃん?」

幼女天使「やはりもう昔のように一緒に遊ぶことはできないんですね。それでは…失礼します」

「ああ!まって!幼女天使ちゃん!」

「まって!!!」

21: 2016/03/21(月) 00:57:26.99 ID:auvuQdUW0
…………

幼女天使「はっ!」バサッ

幼女天使(嫌な夢を見ました…)

男「大丈夫か?ずいぶん険しい顔してたけど…うなされてたの?」

幼女天使「あっ…おはようございます…お兄さん…」

男「朝飯できてるぞ」

幼女天使「あっはい。ありがとうございます」

幼女天使(昨日はお言葉に甘えてベッドを使わせていただきましたが…お兄さんは本当に床で寝てたんですね…寒くはなかったのでしょうか)

22: 2016/03/21(月) 00:59:35.59 ID:auvuQdUW0
幼女天使「これはお兄さんが作ったですか?」

男「まあね」

幼女天使「いつも一人のときはカップ麺を食べていると聞いていたのですが…」ボソッ

男「え?」

幼女天使「い、いえなんでもありません…」

幼女天使「おいしい…」もぐもぐ

男「それはよかった。そういえば他の誰かに手料理をふるまうなんて初めてだな」

23: 2016/03/21(月) 01:03:07.96 ID:auvuQdUW0
男「じゃあ僕は大学に行ってくるよ」

幼女天使「ちょっとまってください!私もついて行きますから!」

男「え?なんで?」

幼女天使「その、これからしばらくは一緒なわけですし…知りたいんです。お兄さんのこと。だめでしょうか」

男(まぁ、あいつよりうるさくなさそうだし)

男「いいよ」

幼女天使「ありがとうございます!」

男(……)

時節見せる笑顔はやはり天使のものというのにふさわしい笑顔だと再確認した。

男「どうせ周りには見えないようになってるんだろ?」

幼女天使「見えるようにもできますが?」

男「あ、いや見えないままで頼む…」

男(そっか。見えないのが普通だと思ってたけど契約前から見えてるってことはあいつらからは見える人間と見えない人間を選ぶことだってできるってわけか)

24: 2016/03/21(月) 01:08:40.05 ID:auvuQdUW0
男「あのさ、契約の善行って初めてやったことで決まるの?」

幼女天使「初めてやったこととは?」

男「悪魔との契約がそうだったからさ」

幼女天使「この契約にはそのようなものはありません。どんな善行も積めば積むほど目標に近づきます」

男「ふうん」

取り巻き「あっ、男じゃん」

男「あっ取り巻き君おはよう」

取り巻きとは先輩との一件以来友人となった。
幼女天使の言う通り後継者争いが集結した後は喪失感しかないと思っていたが、友人が一人増えたことは数少ない救いの一つだろう。

25: 2016/03/21(月) 01:11:20.21 ID:auvuQdUW0
取り巻き「いつもより元気だな、お前」

自販機に百円玉を入れながら取り巻きがそんなことを言った。

男「そうかな?」

取り巻き「うんうん全然違う」

取り巻き「あっ、やべ!十円足りねーや。ちぇー俺の毎日の些細な楽しみの一つであるミルクセーキを飲めないとは…」

男「まったく、どんだけギリギリな生活してんの?」

取り巻き「昨日パチ屋で全部すっちまった」

男「はぁ…はい十円」

取り巻き「おっ!マジ!?サンキュー!今度返すわ」

男「いいよ十円くらい。あげるって」

取り巻き「ヒュ〜いい器だねぇ。じゃな!ありがとよ!」

男「じゃあね…ってん?」

僕が取り巻きに向かって振った手が不自然に白く光ってるように見えた。

26: 2016/03/21(月) 01:12:21.23 ID:auvuQdUW0
幼女天使「善行を積んだと判断されたら天使の力がたまり白く光るんです」

男(なるほど、黒い靄と同じか)

その日は隣に幼女天使がいた状態で講義を受けたが全く気にはならなかった。
誰かさんとは大違いだ。

27: 2016/03/21(月) 01:14:30.73 ID:auvuQdUW0
男「ほい晩飯」

幼女天使「わぁ、朝ごはんに続けてわざわざありがとうございます」

幼女天使「ん〜!おいひいでふっ!」もぐもぐ

幼女天使「ごほっ!ごほっ!」

男「おいおい大丈夫かよ。ほいお茶」

幼女天使「すっ、すみません。何もかもお世話になってしまって」

男「いいんだよ…一応契約した仲だしな」

男「それにさ…やっぱ一人で食べるよりも誰かと食べる方がずっと料理も旨いんだ」

男「なんだかあいつと食べてた頃を思い出すよ」

幼女天使「……誰のことですか?」

男「ん、ああ以前契約してた悪魔のこと」

28: 2016/03/21(月) 01:16:09.31 ID:auvuQdUW0
幼女天使「お兄さんも、なんですね」

男「何が?」

幼女天使「いえいえ、こちらの話です」

幼女天使「……」

男「?」

幼女天使「それよりお兄さん!今日から同じベッドで寝ませんか?床は寒いでしょう?」

男「…なんてことを言い出すんだお前は。僕の目標を遠ざける気か?」

幼女天使「ああ、そのことなら大丈夫です!私任意のセーフティをかけておきますよ」

29: 2016/03/21(月) 01:17:55.23 ID:auvuQdUW0
男「はぁ…」

結局押し切られて一緒のベッドで寝ることになってしまった。

幼女天使「ふぅ…やはり二人だと暖かいですね」

男「あのだな…僕としてはやっぱり少し抵抗があるというかなんというか」

幼女天使「なぜですか?」

幼女天使「別に今は地獄からは何も見えていませんよ…」ボソッ

男「〜ッ!?」

30: 2016/03/21(月) 01:41:26.11 ID:auvuQdUW0
幼女天使「とにかく、お兄さんが何を考えているかは知りませんが」

幼女天使「今お兄さんの目の前にいるのは私です。これだけは忘れないでください」

男「う…」

幼女天使「ではおやすみなさい。お兄さん?」

幼女天使はそう言って微笑むとわざとらしく僕にくっつき足を絡ませ、僕の胸に顔を埋めた。

男「あっ、おい!」

男(こいつ一体何考えてんだ?)

男(そういえば僕は地獄に行きたいとは言ったがなぜ地獄に行きたがるのかはこいつに聞かれたことがないな)

男「なぁ…やっぱりお前ってあいつのことについてなんか知ってるのか?」

幼女天使「ん…すぅ…すぅ…」

男(さすがにこんなに近くにいるなら分かる。こいつ絶対まだ起きてる…)

今日新しく分かったことがある。確かにこいつは天使だ…だがそれ以上に…

男(誰かさんよりよっぽど悪魔っぽいな…)

32: 2016/03/21(月) 01:42:56.58 ID:auvuQdUW0
友「おはよう男!」

男「おはよう友」

友「ん〜?」

友が僕の顔を覗き込むようにして下から上にすぅっと眼を動かした。

男「…何?」

友「ここ最近のお前ってなんつーかその、魂が抜けたみたいな顔してたからな」

友「そう、まるでこの世の終わりみたいな顔」

男「それが今はどうだって?」

友「前までの半分ニヤけてた顔に戻ってる」

男「は、はぁ!?」

33: 2016/03/21(月) 01:48:01.36 ID:auvuQdUW0
友「まぁここら辺も最近物騒なことが多かったしな。先輩のこととか殺人鬼のこととかさ」

友「実際のとこは知らねーがお前あの事件に何かしら関わってたのか?」

男「どこでその話を?」

友「いきなり三日も講義休むんだもんな。サボるようなやつじゃないし心配にもなるだろ?そしたら周りは先輩がいなくなったこともあってもう噂だらけよ」

男「そうだったんだな、初めて知ったよ」

友「マジ?お前結構後ろ指さされてこそこそ噂されてたぞ?気にしてると思って言わなかったけどさ」

友「それくらい魂が抜けてたってこったな。まぁそれがキモいニヤけ顔に戻ったんだから友人としても安心したわ」

男「ああ…」

そのキモいは余計だが、いやもっと言うとニヤけ顔というのも認めたくないが、結局のところ事件に関してはどういう風に僕が関係してたのかとか深く追求してこなかったところには友の優しさに感謝した。

34: 2016/03/21(月) 01:50:33.10 ID:auvuQdUW0
幼女天使「お兄さん、いいお友達がいるんですね」

男(元の顔に戻った、か…)

男(近いうちにあいつに会えるかもしれないっていう希望が出てきたからか?)

男(それとも…)

幼女天使「?」

男(求めてた刺激、非日常が戻ってきたからか?)

幼女天使「お兄さん?…その、あまりじっと見つめられると…恥ずかしいです」

男「えっ、ああごめん」

友「男?どうした?」

男「なんでもない」

男(まぁいいか、僕は目標に向かって善行を積むのみ)

35: 2016/03/21(月) 01:52:05.19 ID:auvuQdUW0
コロッ

友「あっ…」

友(消しゴム落としちゃったぜ。拾うの面倒くせぇ)

男「はい友」

友「おお!拾ってくれてありがとな」

36: 2016/03/21(月) 01:53:09.75 ID:auvuQdUW0
その日の帰り

おばさん(ここの信号ひっかかったら長いのよねぇ。今日は特売でいろいろ買っちゃったせいで重いわぁ…)

男(…この人もしかして)

男「おばさん、お持ちしましょうか?」

おばさん「え?ああ!もしかしてあのとき引っ手繰りから荷物を取り返してくれた方!?」

男「そうですそうです。あのときは僕の荷物を持っていただいたので」

おばさん「あんなの荷物を取り返してもらったことを考えれば気にしなくてもいいのに…でもまぁお言葉に甘えちゃおうかしら」

男「いえいえ。よいしょっと…」

善行を積むコツ?みたいなのも掴み始めこんな調子で二週間ほどたった。

37: 2016/03/21(月) 01:55:08.47 ID:auvuQdUW0
男「ただいまっと」

幼女天使「お兄さん今日もかなり善行を積みましたね」

幼女天使「一日一善ではなかなか目標までは遠いですが、このペースなら早いかもしれませんね!」

男「そうか。ならもっと頑張らなくちゃな」

幼女天使(ほんと…これもあの子のためなのでしょうね。このままのペースならちょっとあの子に嫉妬しちゃうくらいです)

38: 2016/03/21(月) 01:56:55.19 ID:auvuQdUW0
幼女天使「それではお兄さん、今日もお疲れ様でした」

幼女天使「おやすみなさいです」ギュッ

男「なぁ、あったかいのは分かるけどそれやめないか?」

幼女天使「だめなんですか?」

男「だめっていうか…なんか言い表せない罪悪感がこみ上げてくる…」

幼女天使「いいじゃないですか…別に今はセーフティが働いてますのでお兄さんから私に触っても良いんですよ?」

男「そっか…そうだけど…うーん…」

それでもやってはいけない気もしたが僕は幼女天使の頭の上に手を置くとゆっくりと綺麗な髪の毛にそうように撫でた。

39: 2016/03/21(月) 01:57:55.49 ID:auvuQdUW0
幼女天使「…お兄さん?」

男「正直なところ僕はお前に感謝してるんだ」

幼女天使「と言いますと?」

男「友から言われて気づいたんだ。多分僕はお前がここに来てくれてから多少なりとも救われたんだと思う」

40: 2016/03/21(月) 02:00:09.07 ID:auvuQdUW0
幼女天使「…それは私が過去にお兄さんと契約していた悪魔の代わりになっているということですか?」

幼女天使「どうせ私はその悪魔の代わりにはなれません。誰のことかは分かりませんが私は恐らくその悪魔よりも身分が低いと思います」

幼女天使「お兄さんにとって私はその悪魔の劣化コピーといったところでしょうか…いたっ!」

僕は幼女天使に軽くデコピンした。

41: 2016/03/21(月) 02:02:02.47 ID:auvuQdUW0
幼女天使「な、何するんですか!痛いじゃないですか!」

男「今僕の目の前にいるのは…幼女天使、お前なんだろ?そう釘を刺すように言ったのはお前自身じゃないか」

男「お前が何に悩んでるかは知らないけど、心配しなくても僕はお前はお前として見てるよ」

幼女天使「おっ…お兄さん…」

男「それに契約してた悪魔なんかよりいいとこも沢山あるしな!お前の方が物静かで鬱陶しくないし、機嫌悪くしないし」

幼女天使「あ、ありがとうございます」

42: 2016/03/21(月) 02:03:00.05 ID:auvuQdUW0
男「変に甘えん坊でもないし…」

幼女天使「それは違いますよ?」

男「え?」

幼女天使「これからはもっと甘えていきますので、そのつもりで」ギュ〜

男「まいったな…」

幼女天使(お兄さん…私もなんだか救われたような気がします。ありがとうございます…)

43: 2016/03/21(月) 02:04:42.10 ID:auvuQdUW0
男「んあ〜、もう朝か」

男「ん〜…そっか…今日は休日取ってたんだった」

幼女天使「そうですか」

男「なぁ、善行を積むついでに今日はちょっと一緒に出かけないか」

幼女天使「デートのお誘いというわけですね。お兄さんは見かけによらず大胆なんですね」

男「おいおい変なこと言うなよ…」

44: 2016/03/21(月) 02:08:09.76 ID:auvuQdUW0
男「前にちょっと後悔したことがあったんだ」

男「お前とも期間限定の契約者?いや違うそうじゃない。何?その、あれだ!友人!契約した以上もう普通の他人じゃないだろ?」

男「友人なんだからさ。いつ別れることになるか分からない友人とはできるだけ思い出を残しておくってのは当然だろ?」

あいつとももっと思い出を作っておけばよかったって今でもすごく後悔していた。

幼女天使「…むっ」

男「そうと決まったら準備して出発だな」

45: 2016/03/21(月) 02:09:40.45 ID:auvuQdUW0
幼女天使「それでは今日は周りにも見えるように姿に補正をかけておきましょう。その方が便利でしょうし」

男「…翼は出すなよ?」

幼女天使「はい。もちろんです」

男「あと、その髪の色は何かと目立つから…僕のだからちょっと大きいけどこのパーカーでも着といて」ポスッ

幼女天使「あふっ…すんすん…お兄さんの匂いがします…」

男「やめろ!」

46: 2016/03/21(月) 02:11:08.70 ID:auvuQdUW0
とりあえずここまでです。

57: 2016/03/21(月) 22:41:23.04 ID:auvuQdUW0
男「ここのコンビニのソフトクリームがすごくおいしそうなんだよ」

幼女天使「私も甘いものは好きですよ」

店長「あれ?男くん今日は休日とってたよね?」

男「あ〜、そうなんですけどちょっとあのソフトクリームが食べたくなって」

店長「はは、男くんは本当にあれが好きだね」

店長「で?そっちのお嬢さんは?」

58: 2016/03/21(月) 22:43:20.97 ID:auvuQdUW0
男(やばっ。知り合いに会ったときのこと考えてなかった…我ながらアホだな)

男「えっとその、今ちょうど実家から妹が帰ってきてまして…」

店長「妹?にしては外人さんみたいな真っ白肌で…えっと前髪も茶髪ようだけど…ませてるんだねぇ」

幼女天使「お兄さんの彼女ですっ!」

幼女天使がにっこりとした笑顔でとんでもないことを口走ったため、ただでさえいろいろ考えてた頭の中が一瞬真っ白になった。

59: 2016/03/21(月) 22:47:34.05 ID:auvuQdUW0
男「え、ちょっ、お前何馬鹿なこといって…」

バイト「店長〜!万引き犯らしき客を呼び止めたら走っていきました!」

バイトだが純粋に普段店員として働いている身として万引きを許せないため、反射的に身体が走り出していた。

これを機に爆弾発言によって少し固まった空気からも抜け出せた。

男「万引き犯!?またかよ!」ダッ

幼女天使「あっ!お兄さん!」

60: 2016/03/21(月) 22:50:51.36 ID:auvuQdUW0
店長「いや〜男くんにはまた助けられちゃったね」

なんとか万引き犯を捕まえに行くことによってその場の空気を切り抜けられたし結果的に善行も積めた。

万引きがあったのにこんなことを言うのはどうかと思うが…。ツイている。

男「はぁ…はは、じゃあ僕はこれで…ほら、行くぞ!」

幼女天使「もう行ってしまうんですか?」

店長「彼女さんにしては小さすぎるような…」ボソボソ

バイト「万引きがあったばかりですがあれもあれで犯罪臭すらしますよ店長…」ボソボソ

61: 2016/03/21(月) 22:55:16.73 ID:auvuQdUW0
男「はいソフトクリーム」

幼女天使「ありがとうございます」

男「…なんであんなこと言ったんだ?」

幼女天使「妹ではありませんので」

ソフトクリームを舐めながら真顔で放った一言だった。

男(こいつ…得意気にきっぱりと言いやがる)

幼女天使「ソフトクリーム、分けてあげますので許してくださいな」

男「それ、僕が金だして買ったんだけどな」

そう言いながら差し出されたソフトクリームを口にした。

幼女天使「ふふ…間接キスですね」

男「ぶっ…」

やはりこいつの言動にはどこか悪魔的なものを感じる。

62: 2016/03/21(月) 22:59:54.35 ID:auvuQdUW0
幼女天使「ここは?とても騒がしいところですが」

男「ゲームセンターだよ。高校生や大学生の間じゃあ代表的な娯楽の一つだよ」

幼女天使「…かわいい」

幼女天使は僕の説明が終わる前にまるで見た目相応の子どものようにクレーンゲームに張り付いてぬいぐるみを見ていた。

男「なんだ?そのぬいぐるみが欲しいのか?じゃあ取ってあげるよ」

63: 2016/03/21(月) 23:03:19.65 ID:auvuQdUW0
幼女天使「良いんですか?」

男「取れるかどうかわからないけどね…その代わり取ったらこれからは変なこと言うなよ?」

幼女天使「その契約は承諾しかねますね」

男「じゃあ取るだけ無駄か」

幼女天使「お兄さんがいればぬいぐるみなんて要りませんからね。お兄さんはぬいぐるみなんかよりよっぽどおもしろい方です」

男「は?それは困るから僕の代わりを用意するために僕はこいつを取ろう」

幼女天使「お兄さんもお兄さんの代わりなんていませんよ…今、ここにいるあなただけ…」

男「……」

男「あーもう!このぬいぐるみをお前にあげて善行を積むんだよ。これは僕のためでもあるんだ」

64: 2016/03/21(月) 23:12:54.77 ID:auvuQdUW0
急に見た目相応の子どもになったかと思えばまたどこか暗い表情を見せながら大人びた意味深な発言をする。

そんな幼女天使を見ているのがなんだか嫌だった。
なぜかよく分からないが僕は彼女にはさっきみたいな子どものような無邪気で明るい顔をしていて欲しいようだ。

男「あ〜もう!あとちょっとだったのに!」

幼女天使「あの…それもう何回目ですか?」

男「いいからお前はそこで黙って見てろ。絶対取ってやる」


65: 2016/03/21(月) 23:16:01.20 ID:auvuQdUW0
幼女天使「ふふ…このキャラクターはすごく愛らしいデザインですね」

男「結構かかちゃったな…」

男(でも手も光ってるし良しとするか…ギリギリ金も残ってくれて良かった)

男「最後は、お前の新しい服を買いに行くぞ」

幼女天使「へ?」

男「これからもこうやって二人で出かける日があったときにそのダボダボパーカーじゃ嫌だろ?だから次のときのために服を買っておくんだよ」

幼女天使「そんな…悪いですよ…」

男「なんだかんだで世話にもなってるから感謝の印にってことだよ。いいから行くぞ」

幼女天使「ああっ!自分で歩けますから引っ張らないでくださいよぉ!」

66: 2016/03/21(月) 23:17:58.07 ID:auvuQdUW0
その後は幼女天使に服を選ばせてその服を買った。自分でも『なんでわざわざこんなことをしたのだろう』と疑問にも思った。別にダボダボパーカーでもいいんじゃないかって。

でも買った服を渡したときの彼女のちょっと申し訳なさそうだけど嬉しそうな笑顔を見たら、なんだかんだで僕も今日という日を楽しんでいたんだなという答えが出た。

67: 2016/03/21(月) 23:20:01.50 ID:auvuQdUW0
幼女天使「ここまでしてもらって、本当に良かったんですか?さすがに生活に影響がでるんじゃ…」

男「はは、二人分の食費にこんなこともしたらそりゃ今月は辛いだろうけど貯金もまったくないわけじゃないしなんとかなるよ。結局地獄に行けば関係ないし。それにさ…」

男「お前が嬉しそうだからそれでいいよ」

幼女天使「っ!」

幼女天使「…分かったように言いますけど私が嬉しいなんて私が言わなきゃ分からないじゃないですか」

男「何今さら見栄張ってんだよ?分かるよ、この手が白く光ってるんだから」

幼女天使「あっ…」

男「本当に心の底から迷惑だなんて思われてたら光るわけがないからな。そうだろ?」

幼女天使「お兄さんはずるい人です…」

男「何がずるいのか知らないけど今日はお前のせいで大変な場面があったからな。許してくれよ」

幼女天使「むぅ」

男「さっ、今日はもう帰るか」

68: 2016/03/21(月) 23:24:07.48 ID:auvuQdUW0
帰ってきて幼女天使と一緒に晩御飯を済ませたあと僕はシャワーで一日の疲れと汗を流していた。

男「今日は歩き回ったからいつもよりシャワーも気持ちいいな」

幼女天使「お兄さん?」

男「あっ、もしかしてタオル取り忘れちゃった?そこ置いといて」

男「って、は?」

後ろを向くとタオル一枚の幼女天使がいつもの天使らしい微笑みでそこに立っていた。

69: 2016/03/21(月) 23:28:22.70 ID:auvuQdUW0
幼女天使「お背中流しますよ」

男「ちょちょちょちょっと待て」

幼女天使「いいじゃないですか…セーフティがあれば何も怖いものはありません」

幼女天使「お兄さんはただ前を向いていればそれでいいんです」

男(ああ、まぁいいか。確かに変な意識しなければなんの問題もない、そう、何の問題もない。何の問題も……)

70: 2016/03/21(月) 23:30:40.05 ID:auvuQdUW0
だが所詮視線を逸らしているだけでの『無意識の意識』などなんの意味もない。

感覚や感触を無視するのはやはり難しかった。

幼女天使「お兄さんの背中…おっきぃ…」

そのことを彼女の柔らかい感触によって思い知らされた。

男「おいおいおいくっつくな!」

幼女天使「ベッドではこれくらいいつものことじゃないですか」

男「変な言い方するな!」

幼女天使「ただ服があるかないかの差ですよ」

まぁそう言ってしまえばそうなのだが…

71: 2016/03/21(月) 23:33:30.54 ID:auvuQdUW0
幼女天使「これは私からのせめてもの善行です。受け取ってください」

幼女天使「ね?」

耳もとで色っぽく囁かれるその一言一言が僕の脳内を何度も揺さぶったが僕はそれに耐えた。耐え続けた。
しかしそれはまだ前触れに過ぎなかった。

幼女天使「はいできました!」

男「じゃあ適当に身体流したら僕は出て行くから…」

幼女天使「何を言ってるんですか?次は私の背中を流してくださいよ」

男「何いってんだよ」

幼女天使「これも善行の一つだと思えば」

男「いやそれでもだな…」

幼女天使「ではお兄さんの前も洗いましょうか?」

男「お背中流させていただきます」

72: 2016/03/21(月) 23:35:24.97 ID:auvuQdUW0
羽も真っ白だったが羽を引っ込めたその背中もまた、白い高級な陶磁器かのような白さと繊細さを感じた。僕なんかが触れれば傷ついてしまうのではないかと思うほどに。

そっと、そっと指先で彼女の背中に触れた。壊さないように。傷つけないように。

73: 2016/03/21(月) 23:38:02.78 ID:auvuQdUW0
幼女天使「んっ…」

幼女天使「お兄さん何やってるんですか?中途半端に指先で触られてはもどかしいです」

男「い、いやそのあまりにも綺麗だったから…つい」

幼女天使「なっ!何を言ってるんですか!?」

男「あーもうしょうがないだろ!僕だって女の子の背中を流すなんて初めてなんだから」

幼女天使「初めてなんですか?」

男「そ、そうだよ当たり前だろ?」

幼女天使「ふふ…」

男「なんだよ。馬鹿にしてるのか?」

幼女天使「いえ、ちょっと嬉しくて」

男(やっぱりどこか馬鹿にされているような気がする)

男(こいつ…ちょっとお仕置きしてやるか)

74: 2016/03/21(月) 23:40:43.02 ID:auvuQdUW0
僕は指先のひらを幼女天使の背中にくっつけるとゆっくりと上から下に背筋をなぞるように指先を下ろした。

男「ほらっ!」

幼女天使「ふぁああああ!」

幼女天使「にゃっ!にゃにするんですか!?くすぐったいじゃないですか!」

男「なるほどお前はこれが効くんだな?いいことを知った」

幼女天使「もう!早く洗ってくださいよぉ!」

男「いやなんかこれ楽しいわ」ゾゾゾゾ〜

幼女天使「ひゃん!もぉ〜!!」

最初の緊張感はもはやなくなっており、途中からは僕たちは本当の兄妹のように風呂場で戯れていた。

その後風呂場から上がると昼の疲れと柄にもなく遊び疲れたせいか僕はベッドに行くとすぐ眠ってしまった。

75: 2016/03/21(月) 23:42:39.23 ID:auvuQdUW0
幼女天使「もう、あれだけ私をおもちゃみたいに扱ってこれなんですから」

男「んぁ…すぅ…むにゃ…」

幼女天使「お兄さん、もう天使の力がかなりたまっていますね」

幼女天使「もうお兄さんとのお別れも近くなっているんですね」

幼女天使「それが寂しい…なんて感じてしまう私は…」

幼女天使「私は…いったい何がしたかったんでしょうか…」

幼女天使「お兄さん…」ギュッ

78: 2016/03/22(火) 00:57:05.69 ID:eCCXnzUz0
男「んー…」

男「んぁ?なんだこれ」

男(手が黄色に発光している?)

79: 2016/03/22(火) 00:58:17.94 ID:eCCXnzUz0
男「おい幼女天使起きろ!これはどういうことだ?」

幼女天使「むにゅ。ああ、それはお兄さんの天使の力の段階が一つ上がった証拠です」

幼女天使「あと半分くらいでしょうか」

男「これだけやって半分なのか。あ、発光が止まった」

男「まぁもうちょっとであいつに会えるってことか」

81: 2016/03/22(火) 01:00:32.30 ID:eCCXnzUz0
男「あっ、そうそう」

男「なんというか、昨日の幼女天使を見てるとさ、もし僕に妹がいたらこんな感じなのかなって思ったんだ」

幼女天使「そう、ですか」

男「それだけお前が僕の生活に馴染んできてるってことだよ。あと半分だけどこれからもよろしくな」

幼女天使「はい。私もできる限りサポートします…」

男「?」

男「なんだ?元気ないな」

幼女天使「いえ、大丈夫ですので気になさらないでください」

82: 2016/03/22(火) 01:02:02.02 ID:eCCXnzUz0
その日を境に僕は今まで以上に善行を積むことを意識しだした。

電車の

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