201: 2015/02/01(日) 20:48:52.19 ID:J7PP3XdO0
前回:提督「怜悧盲目」【第5話】
初めから:提督「怜悧盲目」
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提督「────失礼します」
提督「お久しぶりです、元帥」
元帥「……こうして面と向かって会うのは確かに久し振りだな」
元帥「だがまずはその他人行儀な態度を止めて欲しい。お前がその態度だと……背中がぞわぞわするからな。気持ち悪いことこの上ない」
提督「…………相変わらずの物言いですね。俺だっていつまでも子供じゃないってことですよ。受け入れて下さい」
元帥「はぁ……まったく……」
元帥「私を『ジジイ』と呼んでいた頃のことを懐かしく思う日が来るとはな……」
提督「……えー、その節は、その……」
元帥「安心したまえ。今更昔のことを掘り返すつもりはない。……態度次第だがな」
提督「あ、あはは……」
元帥「ところで今朝、私の元に合同演習の誘いが来たわけだが…………」
元帥「私も忙しい身だ。参加出来そうにない。……代理を立てないといかんなぁ?」
提督「……よ、喜んで参加させていただきます」
元帥「うむ、お前ならそう言ってくれると思っていた。詳細は後で送るからよろしく頼んだぞ」
提督「……はい」
提督(満面の笑みまで浮かべて……)
提督(弱みを握って面倒事を押し付ける癖は健在だな)
提督(……まぁ昔も今もお世話になってる人だからな。これくらい何てことはないさ)
202: 2015/02/01(日) 20:49:26.54 ID:J7PP3XdO0
提督「ところで元帥、鳳翔さんの姿が見えませんが……」
元帥「……彼女には席を外してもらっている」
元帥「これから話すことは彼女にはあまり聞かれたくないからな……」
提督「聞かれたくない……?」
提督「……浮気ですか?」
元帥「降格と前線行き、どちらが好みだ?」
提督「ちょっとふざけただけです、すみません」
元帥「……やっぱりお前は今の方がいい。昔みたいにふざけられると私が疲れてかなわん」
元帥「だがまあこのくらいの空気が丁度良いか。最初から辛気臭くなってしまっては、最後まで体力が持たないからな」
元帥「…………提督よ、今日お前を呼んだのは他でもない」
元帥「先日、と言っても一ヶ月以上も前の話になるが、提督とその秘書艦が艦娘の凶行によって重体に陥った事件は知っているな?」
提督(……えーと、ああ。時雨と一緒に居た時に見たニュースか)
提督「はい、知っています」
203: 2015/02/01(日) 20:50:42.75 ID:J7PP3XdO0
元帥「それなら話は早い」
元帥「そのニュースだが、提督が秘書艦とケッコンしたことに対し、提督に好意を抱いていた艦娘が嫉妬に狂ったというのが表の話だ」
提督「表、と言いますと……?」
提督(……凄く、嫌な予感がする)
元帥「……これは他言無用のことだが、ケッコンに際して使用される指輪には、ケッコン相手への好意を増幅させる力がある」
提督「…………っ!?」
元帥「今まで冷たい態度を取っていた艦娘が、ケッコンを機に態度を軟化させたという話はよく聞くだろう?」
元帥「原理は未だ解明されていないが、これは事実だ」
提督「そ、そうだったんですか……」
提督「…………ん?」
提督(『ケッコン相手への好意を増幅させる』?)
提督(それってもしかして……!)
提督「……元帥、その力は提督にも働きますか?」
元帥「……勘が良いな。もちろんだ」
元帥「ただ艦娘用の指輪はともかく、通常の提督用の指輪にはそんな力は一切無い。身体能力の向上等の必要性の無さから本部の方でただの指輪に加工しているからだ」
元帥「だから『本部の誰かが手を加えない限り』、提督にその力が働くことは無いと思ってくれていい」
提督「……あのニュースの提督の指輪は違ったんですね」
元帥「……そうだ。『秘書艦の圧力』によって、指輪はその力を持ったまま提督の手に渡ったという話だ」
提督(秘書艦っ?!)
提督(……そうか。それで他の艦娘が凶行に……!)
204: 2015/02/01(日) 20:51:30.84 ID:J7PP3XdO0
元帥「好かれる、というのも考え物だ」
元帥「行き過ぎた恋情や愛情は時に憎悪や嫉妬に変わる」
元帥「複数の艦娘と重婚した提督にはそういったトラブルが少ないと聞いているが、お前のように一艦隊全員と同時にケッコンするという提督は類を見ない」
元帥「……十分に気を付けてくれ」
提督「……肝に銘じておきます」
元帥「私からの話は以上だ。下がって良いぞ」
提督「はい、ご忠告ありがとうございました」
提督「……あの、元帥」
元帥「どうした?」
提督「指輪の件は、どうなりましたか?」
元帥「頼まれていた五つ目の指輪なら数日中に出来上がるそうだ。完成次第送らせてもらおう」
元帥「そして最後の指輪は長門……戦艦用の指輪だったな。こちらは他と違って時間がかかる。もう一月はかかるぞ?」
提督「いえ、それで大丈夫ですので、よろしくお願いします」
提督「────失礼しました」
元帥「……………………」
205: 2015/02/01(日) 20:52:43.80 ID:J7PP3XdO0
提督(指輪にそんな力があったとは……驚いたな)
提督(うちの艦隊は……大丈夫だろう。皆良い子ばっかりだし、凶行に及ぶ姿なんて想像出来ない)
提督(…………好意を増幅、か)
提督(元帥と鳳翔さんがお互い指輪を付けていないのは、そういった力に干渉されるのが嫌だからなのかもな……)
提督「────っと、そろそろ二人を迎えに行かないと」
206: 2015/02/01(日) 20:53:33.99 ID:J7PP3XdO0
天龍「────また今度なー!」
天龍「…………へへっ、見たか龍田?」
天龍「あいつらすげえ嬉しそうにしやがって……。あんな笑顔、前の鎮守府じゃ見たこと無かったぜ?」
龍田「うふふ、確かにそうねぇ……」
天龍「……何だ? やけに機嫌良いな」
龍田「うふ、だって……提督の素晴らしさを再認識出来たのよ?」
龍田「私達だけじゃなくて、昔の仲間も救ってくれるなんて……」
龍田「────ふふっ♪」
207: 2015/02/01(日) 20:54:10.85 ID:J7PP3XdO0
天龍「……あのオレにべったりだった龍田がこうなるなんてなぁ」
天龍「『天龍ちゃんが一番好き』とか『天龍ちゃん以外何も要らない』とか言ってたんだぜ?」
龍田「あら、ちゃんと覚えてるわよ?」
龍田「でもほら、あの頃の私は何も知らなかったから……」
龍田「それに今でも天龍ちゃんのことは一番好きよ?」
天龍「へぇ、それじゃ提督は?」
龍田「え? 一番好きに決まってるじゃない」
龍田「当たり前のことを聞くなんて……変な天龍ちゃん」
天龍「…………いやいや、それは可笑しいだろ?」
龍田「んー……、天龍ちゃんが何を言いたいのか分からないんだけど……」
天龍「マジかよ……」
天龍「………………そうだ!」
天龍「じゃあ龍田、もしもオレと提督が崖から落ちそうだったらどっちを救うんだ?」
天龍「救えるのはどっちかだけだぜ?」
龍田「そうねぇ……」
龍田「そんな事態になんてそもそもならないとは思うんだけど……」
龍田「もしそうなったら提督を救うわ」
天龍「むっ、オレを見捨てるのか……」
龍田「天龍ちゃんでもそうするでしょう?」
龍田「────それに大丈夫」
208: 2015/02/01(日) 20:55:07.03 ID:J7PP3XdO0
龍田「提督を助けた後、天龍ちゃんとは一緒に落ちてあげるから♪」
龍田「二人なら、天龍ちゃんも寂しくないよね?」
209: 2015/02/01(日) 20:55:41.99 ID:J7PP3XdO0
天龍「……………………ははっ」
天龍「やっぱり龍田はオレの最高の相棒だな!」
天龍「これからもよろしく頼むぜ!」
龍田「────きゃっ……!」
龍田「もう、天龍ちゃん……いきなり抱きつかれるとびっくりしちゃうでしょう?」
龍田「………………こちらこそよろしくね♪」
210: 2015/02/01(日) 20:56:34.01 ID:J7PP3XdO0
時雨「────ただいま」
長門「今戻ったぞ…………と、大丈夫か? 夕立?」
夕立「ひっ!? やっ、ご、ごめんなさいっ! ごめんなさいっ! ごめんなさいっ────」
長門「落ち着け、夕立。私は味方だ、お前を傷付けたりしない」
長門「だから……な?」
夕立「な、長門……?」
夕立「────もう我が儘なんて言いません文句なんて言いません口答えもしません何でもします何でも受け入れます何でも出来ます」
夕立「だから、だからっ────」
長門「夕立、一緒に部屋に行こう。私が付いて居てやる」
長門「…………こうなるだろうとは思っていたが……やり過ぎだぞ、摩耶」
長門「────時雨、後は任せた」
時雨「うん、任せてよ」
時雨「……夕立のケア、よろしくね?」
長門「ああ、了解した。ほら、行くぞ夕立」
夕立「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい────」
211: 2015/02/01(日) 20:57:08.59 ID:J7PP3XdO0
時雨「………………」
時雨「……摩耶」
摩耶「あー、悪い……」
摩耶「龍田の時以来だったから加減がどうも分からなくてさ……」
摩耶「次はもっと上手くやるから、な?」
時雨「……頼んだのは僕だから強く言えないけど」
時雨「夕立も大事な仲間なんだ。次は許さないよ?」
摩耶「……分かったって。だからそう睨むなよな」
時雨「………………まったく、夕立が氏んじゃったらどうするのさ」
摩耶「あ? 演習じゃ氏なないだろ?」
時雨「そういう意味じゃないから……もう……」
摩耶「────それよりさ、長門の奴どうしたんだ?」
摩耶「角が取れたっていうか……丸くなったっていうか……」
時雨「……分かるかい?」
時雨「『これからは協力する』ってさ」
摩耶「────おおっ、やったなぁ!」
摩耶「いやー、ここまで長かったぜ……」
摩耶「お前のおかげだな! お疲れ、時雨!」
時雨「ふふっ。気が早いよ、摩耶?」
212: 2015/02/01(日) 20:57:54.16 ID:J7PP3XdO0
時雨「あと『三日』もあるんだから、ね?」
213: 2015/02/01(日) 21:00:29.27 ID:J7PP3XdO0
投下終了。
幕間 最終話 しあわせなエピローグ
で終わります。
(皆あんまり病んでなくて)すみません。
このくらいのソフトなのが好きなんです。
それではまた。
引用: 提督「怜悧盲目」
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