220: 2026/02/17(火) 20:00:00 ID:???00


最初から:花帆「あたし、再生産」

前回:花帆「あたし、再生産」第十一話

泉「…………」ジー

セラス「泉? どうしたの?」

泉「……いや。やはり、貴女には舞台の真ん中が相応しいなと、少し思ってね」ポツリ

セラス「? まぁとにかく、これで……わたし達が“トップスタァ”になれたんだよ、泉。2人で、約束の舞台に──」

『……本日のオーディション、その“全て”は終わっていませんよ』

セラス「……!?」

『 最終オーディション 』

『 “星摘みのレヴュー”の開演です 』

『トップスタァを目指して、歌って、踊って』

『──奪い合いましょう』

221: 2026/02/17(火) 20:01:00 ID:???00


最終話 シアター生き様

.

222: 2026/02/17(火) 20:02:00 ID:???00
花帆「……」

セラス「最終オーデション……って、え、“トップスタァ”はもう決まったでしょ! どうして……」

『最もきらめいたレヴューを魅せてくれた方には、“トップスタァ”への道が、開かれる、とお伝えしました』

『演者が立ち、観客が望む限り……舞台は続きます』

泉「……ああ、やはり、そうなのか」ポツリ

セラス「泉?」

泉「舞台の上に、スタァは1人。私は必ず、セラスと戦うことになる……だとするならば」スッ

シュッッ…‼︎

泉「……同じ過ちを、私は繰り返すものか…………ッ!」バッ

223: 2026/02/17(火) 20:03:00 ID:???00
セラス「!」

泉「……セラス。私にとって、貴女は希望の光だ」

泉「先ほどのレヴューでも、舞台の中心、ポジション・ゼロは貴女の立ち位置だった……そして、それが似合ってもいたんだ」

『わかります』

泉「貴女の“きらめき”は、奪えない。……奪わせない」

セラス「………………泉、それは──」

泉「さよならだ、セラス」

…キィィン‼︎

224: 2026/02/17(火) 20:04:00 ID:???00


泉「……」

泉「……え」

ググ…

……キィン‼︎

セラス「──やっぱり。泉はヘンに自罰的ですぐ悪役を演じるたがるから、絶対こうすると思った」

泉「…………セラス!? 剣で槍を……何故、止めたんだ」

セラス「自分で自分の星を投げ捨てて、灰殻になっても意味ないじゃん。星は皆、祈りを背負っている……のにね」

セラス「泉、自分の留め具を刎ねて、“わざと”負けようとしたんでしょ?」

225: 2026/02/17(火) 20:05:00 ID:???00
泉「……ああ。だが、こうするより他は」

セラス「──結末、変えるんでしょ。諦めちゃダメだよ、泉」ニコッ

泉「!」

セラス「ずっと、考えてた。いつか、泉と戦うことになっても……それでも2人で“トップスタァ”になることを諦めないって」スッ…

セラス「だって、わたし達は舞台少女で、スクールアイドルで、ライバル、だから」ニコッ

泉「だが…………『スタァライト』は必ず別れる悲劇だ」

セラス「そうだね。でも、惹かれ合うことまでは罪じゃない」

セラス「泉とわたし、2人で1つ。……そう、Edel Noteは2人だから“きらめき”を放てる……」

セラス「わたしは、戯曲『スタァライト』のように別れを、悲しい結末にはしてみせない。……だって!」

セラス「──さようならは、悲劇じゃない!」

♪ シアター生き様
https://www.youtube.com/watch?v=9Bctgk_f_Zk

226: 2026/02/17(火) 20:06:00 ID:???00
『……!』

セラス「星摘みは、もう終わってる。だって、希望の光を幽かでも放つ星は、他でもないわたしだから!」バッ

セラス「わたし達はもう舞台の上。戯曲の“トップスタァ”は1人でも、人生というムービーはそうじゃないんだっ──!」

──パッ‼︎

ガタガタガタガタ…‼︎

__________
ENCORE アンコール
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

『別れの、続き……悲劇ではない、戯曲『スタァライト』……?』

泉「あぁ……そう、か」ポツリ

泉「私は、星の輝きに目を焼かれたフローラであり……同時に、希望の光を放つそれに、精一杯と手を伸ばすクレールでもあるのか」

泉「なるほど。だから、セラスは飛び入りだったわけだ」クスッ

227: 2026/02/17(火) 20:07:00 ID:???00
『……ただ1人の“トップスタァ”を決めるオーディションは、“星摘みのレヴュー”は、まだ、終わっていませんが』

セラス「……うん、だから魅せてあげる」ニコッ

セラス「最もきらめいたレヴュー、そしてその“運命の舞台”を──この先、ずーーっと、未来の蓮ノ空で」

『……』

『……』

『……はい?』

228: 2026/02/17(火) 20:08:00 ID:???00
泉「ふふ、そういうことか」クスッ

泉「自分でステージを作って、自分で衣装と曲を用意して歌う……“きらめき”を生み出せる、そういった舞台少女こそ、スクールアイドル」

泉「ならば、あなたも。それに他の観客も観たいだろう? 限られた時間で輝くスクールアイドルの──素晴らしい永遠の舞台を」ニコッ

『……』

『私は……途切れさせたくない。舞台を愛するただの観客にして、“運命の舞台”の主催者にすぎない存在』

『舞台少女は──スクールアイドルはそのステージで、長い歴史の中で、決して消える事なく“きらめき”を生み出し続ける、と?』

セラス「もちろん、そうに決まってる」コクリ

セラス「元々はあなたと同じ観客だったわたしが、今スクールアイドルに……舞台少女になってるんだよ? なら、当然でしょ」フフン

『…………“運命の舞台”の、上演。それには、胸を熱くし心を焼く、大量の燃料が不可欠。それは、貴女1人で?』

セラス「ううん。だって、1人じゃないから。ね──花ちゃん」

花帆「………………え?」ピク

229: 2026/02/17(火) 20:09:00 ID:???00
花帆「え……っと、なんで、あたし?」

花帆「あたしはもう、レヴューに負けて舞台から降りた……“きらめき”だって、少しも残ってなんか」

セラス「花ちゃん。繋がる力は誰が誰のために使ってもいい……だったよね?」クスッ

花帆「……!」

『話が見えませんね。わかります』

230: 2026/02/17(火) 20:10:00 ID:???00
セラス「わたし達は“きらめき”を再生産する舞台を、自分の力で作れる。……花ちゃんが目指した、全ての人が花咲くステージ」

セラス「何度も、何度でも、未来のスクールアイドルは“きらめき”を生み出せる。そして、それを観たい人もいる」

『……ふむ』

セラス「ねぇ、あなたは、観たいんでしょ? 観客が望む、誰にも予測できない“運命の舞台”が。だったら!」

セラス「誰でもスクールアイドルに……“きらめき”を持つ舞台少女に、戻れる舞台」

セラス「──金沢の伝統になったBloom Garden Partyは、それに、なれるっ!!」バッ

231: 2026/02/17(火) 20:11:00 ID:???00
花帆「ぁ……」

『……』

泉「あの一回だけを“運命の舞台”にするのではない。繰り返すわけでも、囚われるわけでもない……舞台は生き物だからね」

泉「スクールアイドルなら、未完成でも熱を持って芸術を作り出せる。伝統になれば、それこそ永遠にね」クスッ

『……』

『…………昔、“きらめき”を充分に持っていたスクールアイドルも、似たようなことを言っていました』

『未完成で不安定な舞台少女……スクールアイドルは、それだからこそ“きらめき”を作れるのだと。わかります』

セラス「でしょ? 他でもない、あなただってね」クスッ

232: 2026/02/17(火) 20:12:00 ID:???00
『……。わたしはあくまでも、舞台を愛する観客です。観客は自らをも燃やし、舞台のための燃料となる存在で』

セラス「演者と観客、アイドルとファン。……でも、スクールアイドルはそれ以上の存在だ、って」

セラス「あなたは知ってるはずでしょ? 舞台少女を──スクールアイドルを、今までずっと客席で観てきたんだから」フフン

『…………。しかし……』

セラス「スクールアイドルが大好きになっちゃったんなら。もう、何も知らなかったあの頃には、戻れないよ」ピシッ

泉「ふふ。私も、セラスによって経験済みだから分かるさ。あなたはもう、スクールアイドルによって変えられてしまったんだ」

『……なるほど』

『…………わかります』

『スクールアイドル、なりたいのなら誰でもなれる……舞台に上がれる存在だと。ああ、わかります……。ならば』

『私は、その“きらめき”を、観たい……!』

233: 2026/02/17(火) 20:13:00 ID:???00
花帆「!」

花帆「…………それなら! 夢を……持ってるのなら!」ガタッ

花帆「あなたのことも、あたしは、Bloom Garden Partyの舞台で待ってる……“きらめき”を再生産して、絶対、花咲かせてみせるよ!」

『!』

『ええ。……わかりました』

234: 2026/02/17(火) 20:14:00 ID:???00
……

泉「さぁ、セラス。そろそろ、幕引き……エンディング曲が終わる頃だ」スッ

セラス「ん。じゃあ──行こう。皆が、舞台で待ってる」ニコッ

ガタガタガタガタ…

「「──劇場を出た瞬間、眩しい光、溢れるから──」」

「「ポジション・ゼロ」」

235: 2026/02/17(火) 20:15:00 ID:???00
────

──エピローグ

ガヤガヤガヤ…

花帆「吟子ちゃん、あの……」

吟子「花帆先輩。Bloom Garden Partyまでは時間がないんだから……口より手を、手より頭を動かさなきゃだよ」

花帆「それはわかってるんだけど、その……」チラッ

吟子「…………なに?」ギューー

花帆「……吟子ちゃん、さっきからあたしのこと強く抱き締めすぎじゃない?! ちょっとくらい、離してくれないかなーって……」

236: 2026/02/17(火) 20:16:00 ID:???00
吟子「ダーメ。花帆先輩は放っておいたら、この間の夜みたいにまた勝手にどこかに行っちゃいそうだから……」ギューー

吟子「花帆先輩のそばには私が居る。絶対に、花帆先輩の手を、離さない。離してやらないって前にも言ったでしょ?」ギューー

花帆「でも……」

吟子「未完成でも、怖くても、次のステージには向かわなきゃ。花帆先輩だって、そうだよね?」ニコッ

花帆「! …………うん」

237: 2026/02/17(火) 20:17:01 ID:???00
花帆「Bloom Garden Partyをちゃんと……スクールアイドルの、ううん、誰でも夢が叶うような“舞台”にしなくちゃだもんね」グッ

吟子「ふふ。いま、一番いい顔してるよ、花帆先輩」クスッ

花帆「…………ねぇ、吟子ちゃん」

吟子「?」

花帆「……もし、あたしがさ。“運命の舞台”を……Bloom Garden Partyを、成功させられたら」

花帆「あたしのこと、吟子ちゃんは──永遠に忘れないでいてくれる、かな……?」ギュッ…

238: 2026/02/17(火) 20:18:00 ID:???00
吟子「……」

花帆「吟子ちゃん?」

吟子「いや……こんなヘンな先輩、忘れられるわけないじゃないですか……早く責任、とってください……!//」プイッ

花帆「へ、ヘン!?!?」ガーン

ガチャ

さやか「──花帆さーん! なんと、ここに居たんですね!」

瑠璃乃「Bloom Garden Partyについて、三連華でちょっち相談したいことがあるんだけど……」

花帆「あ……い、いま行くよ!」ガタッ

ガヤガヤガヤ…

239: 2026/02/17(火) 20:19:00 ID:???00
泉「ふむ。どうやら皆、随分と元気になったようだね」チラッ

泉「私としては少し、花帆先輩の事が気がかりだったんだが……吟子が上手く噛み合ったようだ」クスッ

セラス「ね。2人とも似たような悩みを拗らせてただけで、花ちゃんも吟子も、結局は似た者同士だから……」

セラス「まぁ大丈夫でしょ、たぶん。……わたし達は、あのオーディションを経験した舞台少女でもあるんだし」

泉「ふむ、それもそうかもしれないね。落ち着いたら……またゆっくりと焼肉でも食べに行きたいところだ」ニコッ

240: 2026/02/17(火) 20:20:00 ID:???00
セラス「でも、まだまだやる事はいっぱいだよ、泉。目標は遥か遠く、“運命の舞台”だからね」

泉「ああ。私達が目指すのは、誰もが花咲くステージ……舞台少女もスクールアイドルも」

セラス「そう、首を長くして待ってる観客だって、ね」クスッ

セラス「さ、行こ、泉。次の舞台へ──!」ニコッ

最終話 終

──【SS】花帆「あたし、再生産」 終演

引用: 【SS】花帆「あたし、再生産」